持ちつ、持たれつ。

声豚・現場厨・懐古のクソ三拍子

舞台「サンリオ男子」と平成が終わること

12月1日と2日、私は神戸にいた。と書き出しはしたものの、今回の主題はそこではない。私と友人は土曜の朝に神戸に入り、物販に並び、ライブに入り、寝て、起きて、ライブに入り、日曜の夜に東京に帰った。よくある至って普通の遠征である。その遠征のなかでどんなきっかけだったか本当に一切合切覚えていないのだが、『サンリオ男子』の話になった。「そういえば、今、舞台やってるらしいよ」と。

サンリオ男子自体は発足当初から話題だったので知っていたし、私も友人もそれぞれなんとなく好きな子がいた。そんな話からまだチケットがあることを知り、なんか知らんけど勢いで買った。まじでよく覚えてない。ただこの友人とは数ヶ月前に一緒にピューロランドに行っていて、その時にメモミュ*1を観ていたことは大きかったかもしれない。サンリオ×ネルケ×伊藤マサミなら間違いなさそうだし、というような話はした、かもしれない。

 

まぁ、ここまで読み飛ばして頂いて大丈夫です(今言う???)

 

結論から言うと、本当に本当に面白かった。もともと露出が少なかった(というか多分舞台のために作られたであろう)新キャラだからこそ、かなり派手にキャラクターを作れたのが功を奏したのか、関西サンリオ男子の勢いが特にすごかった。ショートコントのように次々と繰り出される笑いの芝居に、何も考えずにただ笑える楽しさを観劇のなかでは久々に感じた。果たしてサンリオの名前を使った舞台で「童貞」というワードを使っていいのかと不安になったけど、彼らはただサンリオが好きな普通の男の子たちなんだなと思った。

 

「男の子がサンリオを好きだなんて・・・」みたいなことを主軸に置くのかと思ったから2000%コメディで驚いた。もう最初から「サンリオを好きなことに男の子とか女の子とか全然関係ないから!話の主軸そこじゃないから!」ってところまでいってたんですよね。そうなんですよ、男の子がサンリオを好きなこと云々よりも、一生童貞かもしれないことのが大事なんですよ、男子高校生は!知らんけど!だからね、『サンリオ男子の舞台』っていうけど『サンリオ(が好きな普通の)男子(高校生)の舞台』って感じだし、『男の子だろうが女の子だろうがサンリオを好きなのは別に普通』って前提なんだよね。

 

それを分かりやすくしてるのがサンリオ男子たちと関わりを持つ先生2人だった。彼らもまたサンリオ男子であるが、劇中では「サンリオおじさん」と自虐している。特に関東サンリオ男子の担任の菅見先生は、自己紹介でこんな風に言っている。

初めまして。生物を担当している教員の菅見直樹(すがみなおき)です。けろっぴが好き、なんて昔は言えなかったな。

先生たちは「俺たち来年30だぞ」と言っているので、この話が現代の・現在の話であるならば2人は平成元年生まれになる。平成元年生まれの先生たちは、自分の『好き』を言うことは出来なかった。それがどうしてか、平成初期生まれの同世代としては正直めちゃくちゃ分かる。『性差別』と言ったら大げさに言い過ぎなんだけど、自分が小さかった頃は確かにまだ「女の子はこうあるべき」「男の子はこれをするべき」みたいな謎風潮あった。男の子が『好きなもの』あるいは女の子が『好きなもの』っていうのは誰かに決められていたし、それが正しかった。『好き』に正しいも正しくないもないって、今なら分かるんだけど。んでもってその『正しくない“好き”』は、馬鹿にされたり、笑われたりしたんだよな。

 

ところがサンリオ男子の彼らは、先生よりたった15年かそこら生まれるのが遅かっただけで、こんなにも『好き』に正直だ。それはインターネットとSNSの普及で、若い人の持つ世界がかなり広がったからっていうのももちろんある。同じものを好きな人間がいること、そしてそのことを知っていることは、強いよね。劇中で主人公の康太くんがずっと追い求めてた『キラキラすること』は、『好きなものを好きっていうこと』。これが出来るようになったのは、平成の時代で1番大きくて素敵な変化だ。

少し話逸れるけど康太くんたちが生まれたその更に15年後には男の子がプリキュアになったから、すごいなぁと思います。平成30年間で、ここまで変わるんだよ。

 

 

「平成最後の○○」という言葉はもはや多用されすぎていて、世間からは若干の飽きを感じざるを得ない。けれどこの舞台が、平成が終わる前に上演されてよかったなと思う。平成が終わっても、次の元号も、『自分の好きなものを好きって言える』時代、サンリオ男子たちのように、みんながキラキラできる時代へと、続いていけばいいなぁと願うばかりです。

 

まーーーーーーそんなことはさておいて円盤出るので早くみんなで見たいですね。いつか私の骨壺には、サンリオ男子の円盤を入れてください。あとVitaminのイベントの円盤がいいです。あの世でもゲラゲラ笑いたい。そんで、あの世でも好きなものを好きって言い続けたいですね!良いお年を!

*1:サンリオピューロランドで毎日やってる40分くらいのミュージカルショー